モジュール​​​​​​​​​​​​​​


多彩なモジュール構成


FEMFATには、basic や weld など、様々なモジュールがあります。 ​​​​​​​

各モジュールの詳細については、以下をご覧ください。

一組の応力振幅、平均応力および常時応力の疲労強度を評価する場合、FEMFAT basicは理想的なツールです。 

FEMFAT basicにより、繰り返し荷重や交番荷重を受ける部品の疲労寿命または疲労限度安全率の算定を行うことができます。 

疲労に対する様々な影響因子を同時に考慮し、シーム溶接やスポット溶接などの接合構造を母材と同時に解析し、適切な疲労寿命予測を同時に得ることができます。 

400を超える材料データベースを標準で搭載しています。また新しい材料データを作成する場合には、“マテリアルジェネレーター”を用いることにより、少ない材料強度のデータからでも、FEMFATで必要な材料データセットを作成可能です。

多軸荷重に対して疲労寿命を予測することは、大きな課題の一つです。複数の荷重入力を重ね合わせた場合、単一方向からの荷重入力では着目部位ではなかった部位が、クリティカルなダメージに到達することがあるためです。   
複数の位置で荷重入力が負荷される部品(ホイールアクスル、車体構造など)は、同時にそれぞれの位置に異なる方向からの入力が発生します。ブレーキと加速、路面凹凸などにより加わる力は、車体構造に変動振幅荷重を与えます。

このような条件下で信頼性の高い疲労解析結果を得るには、特別なソリューションによるアプローチをとる必要があります。FEMFAT maxで適用されているアプローチは、国際研究機関と共同で実施した研究結果や、社内での最新の開発成果と学術論文の内容に基づいています。すべての手法、理論、仮説は、様々なプロジェクトに利用され、検証に成功しているものです。

FEMFAT maxには、荷重条件によりChannelMAXとTransMAXがあり、ダメージまたは疲労寿命、疲労限度安全率、静的破断安全率、多軸度をFE節点毎に評価します。

ChannelMAXは、複数の油圧シリンダーにより一度に複数の方向から載荷するような台上試験を、荷重の時刻歴データと単位荷重による応力解析結果を組み合わせることで、シミュレーション上で再現します。
TransMAXは、荷重負荷の順序が過渡応力により表現できる場合の疲労解析で最も適したモジュールです。これは、載荷履歴の各時刻における応力解析結果を利用して疲労解析することを意味しています。チャンネルベースのアプローチをとっているChannelMAXとは対照的で、線形応力の重ね合わせではないFE解析を行い、非線形の効果を考慮に入れている場合、TransMAXを利用します。

FEMFAT maxの主な特徴:

  • アクスル部品、サスペンションシステム、車体フレーム、エンジン部品、ホワイトボディなどに対して、信頼性が高く効果的な多軸の疲労解析を実行可能
  • 様々な機構解析ソフトウェアや計測ソフトウェアに対応した時刻歴データのインターフェース
  • 入力荷重として、重ね合せ(Channel)や過渡応答(Transient)に対応
  • 必要な箇所だけ素早く計算するためのフィルタリング機能
  • 等価応力を11種類の中から選択可能
  • 直交異方性の材料特性を含む短繊維強化樹脂の疲労寿命予測
  • チャンネルの数が無制限
  • 荷重履歴の圧縮が可能(解析時間の短縮化)
  • FEMFAT weldやFEMFAT spotと連携し、母材とシーム溶接、スポット溶接を同時に解析が可能
  • FEMFAT laminate(ChannelMAXのみ対応)による連続繊維強化樹脂の疲労強度評価
  • 振動現象やエラストマーの疲労解析を行うためのアドオンツール(Harmonic、Elastoloads)

乗用車やトラックのキャビンなどの構造強度を保証するためには、数多くのスポット溶接とパンチリベットが必要です。これらの接合一つ一つは、潜在的な初期き裂を含むことを意味するため、疲労強度解析には特に信頼性の高い手法が必要です。

FEMFAT spotは、スポット溶接で構成されている薄板板金部品に対して、正確な剛性と耐久強度のシミュレーションを実施するための評価手法を提供します。
FEMFAT spotでは、2つの異なるアプローチを用意しています。

シェル要素の要素応力を用いる方法
要素応力を用いる方法では、剛性が最適化された詳細なシェル要素モデルにより、個別にスポット溶接をモデル化します(ナゲットモデル)。これらのナゲットモデルは、FEMFAT spotモジュールに統合されたRemeshing機能、または汎用のプリプロセッサーにより生成できます。SPOT Remeshing機能またはANSAプリプロセッサーによりモデリングをすることで、FEMFAT用の定義が完全に自動化されます。

次のステップは、局所的に修正したモデルの応力解析です。これは、疲労寿命予測解析のためのベースとなります。

FEMFAT spotを用いたもう一つの手法は、Nastranのスーパーエレメントを用いたものです。これにより、車両全体についてスポット溶接のノッチ応力を詳細に解析することが可能です。

結合要素の要素力を用いる方法(JSAEの方法)
要素力を用いる方法におけるスポット溶接のモデル化は、シンプルな接続(梁要素+コネクター要素、ソリッド要素+コネクター要素、CWELD要素など)により作成します。疲労強度解析は、JSAEの手法に則った内力やモーメントにより、構造応力を算定して評価されます。JSAEの方法は、Ruppの評価方法を改善したバージョンです。要素応力を用いる方法と比較して、モデルの作成時間を省くことができるため、短い時間で疲労解析が実施できます。しかし疲労解析結果の精度は、メッシュの依存性が高くなります。

両方の評価方法を実現するための疲労寿命予測の核となるのは、XML形式のSPOTデータベースです。データベースは試験結果に基づき調整されており、疲労に関連するパラメーターが包括的に網羅されています。
SPOTデータベースは、スポット溶接やリベット接合のパラメータを柔軟に定義することができます。例えば、1回の計算実行で異なるタイプの接合(スポット溶接とリベット接合)や等価応力で評価ができますし、接合する各板に対して、別の材料を割り当てることもできます。さらに、ねじ止めされている特殊な接合部の解析では、合計3列のナゲット要素を作成(SPOT Remeshing機能やANSAプリプロセッサ)して、疲労評価することも可能です。

FEMFAT basicやFEMFAT max、FEMFAT spectralの疲労強度解析にFEMFAT spotを連携させることや、さらにFEMFAT weldを併用させることも可能です。

ランダム性の高い加振メカニズム(台上試験や路面入力などによる振動現象)では、膨大な時系列データの解析が必要なので、多大な計算コストがかかります。FEMFAT spectralは、この課題に対する最適なソリューションを提供します。時系列の多軸入力によるダメージ計算を周波数領域(ランダム応答疲労)で直接実行することにより、疲労寿命解析の計算時間を大幅に減少させることができます。

これを実現するため、FEMFAT spectralは、PSD(パワースペクトル密度)と呼ばれる周波数領域にデータ変換します。これにより、多軸荷重状態のダメージ計算が、周波数領域で直接実行されます。

FEMFAT ChannelMAXによるチャンネルベースのシミュレーションのように、FEMFAT spectralでも単位加振をベースとした評価方法を採用しています。これは、各荷重方向に対して、全周波数領域において一定のPSDとなる単位加振を利用することです。これらの加振定義による効率的な数値解析により、周波数領域におけるモード縮減応答解析の利用を可能にします。この解析結果は、単位加振ロードケースごとに対応するモーダル応力、ならびにモーダル伝達関数のセットが得られます。これらの結果を利用してFEMFAT spectralは、製品に負荷される加振PSDにより係数掛けされた、局所応力の伝達関数を生成します。

多くの適用例では、加振荷重は完全に独立して負荷されません。このためFEMFAT spectralには、クロスパワースペクトル密度(クロスPSD)を定義することで、個別の加振荷重の相関関係を考慮するオプションがあります。クロスPSDを利用することで、等価応力PSDを統計上、正しく形成できるという、さらなる優位性が与えられます。

続くダメージ計算では、従来のカッティングプレーン法に加えて、DirlikまたはRayleighの確率モデルが使用されます。

主な特徴:

  • ランダム加振入力による多軸ダメージ計算
  • 解析効率とロバスト性が高い解析プロセスにより計算時間が短縮
  • DirlikとRayleighの確率モデルを搭載
  • FE解析を繰りかえすことなく(荷重PSDを変更することで)異なる荷重条件のダメージ計算が可能
  • 複数の影響因子を考慮することや母材と溶接継手を同時に解析可能

このモジュールを利用すると、測定ひずみデータを基に疲労限度安全率やダメージを計算することができ、また測定ひずみデータとシミュレーションのひずみデータを比較することもできます。

FEMFAT strainは、台上試験とシミュレーションの結果をリンクします。
このモジュールを使用すると、測定ひずみデータを基に、部位ごとの疲労寿命予測を可能にします。そのためにFE解析を実行することは、必要ありません(STRAIN calc)。
2つ目のオプションは、FEモデルのキャリブレーションに用いることが可能です。実際の部品で測定された応力値を(グラフィックで)シミュレーションの結果の値と比較をすることが可能です(STRAIN comp)。

FEMFAT strainは、FEMFAT basicとFEMFAT maxの追加の結果出力(STRAIN comp)として利用可能です。また、STRAIN calcは別の独立したモジュールです。

FEMFAT laminateは、連続繊維強化樹脂の疲労解析を行うためのモジュールです(ChannelMAXで利用可能)。

積層材料の各積層の表側と裏側が、ダメージ計算の対象です。解析手法は“Critical Component in Critical Plane”の応力種類を積層材料に適合したもので、繊維の破断と繊維中間層の破断を評価します。さらに、ソリッド要素モデル(通常は8節点の六面体要素)を使用する場合、デラミネーション(層間はく離)も評価できます。

ダメージ計算には、静的強度特性(引張強度と圧縮強度)と疲労強度特性(S-N曲線)が、繊維に対して平行方向と直角方向の荷重と、積層面のせん断方向の荷重に対して必要です。

Abaqusのinpファイルとodbファイルによる、COMPOSITE特性を定義したシェル要素とソリッド要素をサポートしています。

FEMFAT laminateの主な特徴:連続繊維強化樹脂の多軸荷重に対する疲労強度解析

  • 繊維の破断、繊維中間層の破断、デラミネーション(層間はく離)の評価
  • 一回の計算で通常の材料(鉄鋼やアルミニウムなど)と積層材料を組み合わせた部品の疲労評価が可能
  • 各積層、各応力コンポーネントを個別に結果表示(ダメージ、応力振幅、平均応力、S-N曲線など)が可能
  • 平均応力による疲労限度/傾き/限界繰り返し数の影響を考慮
  • 全積層に対して一般表面処理係数(General surface treatment factor)を設定可能
  • 統計学的影響因子(Statistical influence)を考慮

このモジュールは、線形弾性解析結果から弾塑性応力を計算するためのものです。

FEMFAT plastは、Neuber補正を利用して、切欠き部周辺の弾塑性応力を線形弾性解析結果に基づいて計算します。Neuber則は線形と非線形の応力やひずみの関係を立証した手法で、ヤング率 E と非線形ひずみ εplast により、Neuber双曲線を表すことが出来ます。

繰返し応力-ひずみ線図(繰返し硬化係数 K´ と繰返し硬化指数 n´ を利用)のヒステリシスループを表すためにRamberg-Osgood則を用いることで、非線形応力をNeuber双曲線との交点として計算します。

これにより局部塑性について材料非線形性を考慮したFE解析の必要がなく、弾塑性応力をFEMFAT plastで修正させることができます。またFEMFAT plastにより、FE解析の計算工数削減が図れます。

FEMFAT plastは、FEMFAT basic、FEMFAT max、FEMFAT spectralと連携が可能になっています。

溶接構造が含まれる部品の開発では、溶接継手の疲労寿命を正確に予測することが必要不可欠になっていますが、FEMFAT weldを利用することで、溶接継手の正確な疲労寿命予測を実現します。

溶接構造の疲労寿命や疲労限度安全率を計算する際は、FEMFAT weldに実装されている柔軟性が高い解析手法により、シェル要素モデルとソリッド要素モデルの解析を同時に行うことができます。
溶接ルート部や溶接止端部の評価のため、評価部の詳細なフィレット形状のモデリングと、その多大な作業工数をすべて省略できるようになります。

溶接継手の種類は、FEMFAT visualizerで、シェル要素同士の接合モデルも、シェル要素とソリッド要素の接合モデルに対しても、手軽に定義することが可能です。またこれらの作業は、FE解析と独立して行うこともできます。
疲労強度解析は、FE解析の構造応力を用いて、WELDデータベースに定義されるノッチ係数から溶接ルート部や溶接止端部、溶接始終端部のノッチ応力を算出し評価します。WELDデータベースはACSII形式で提供されるので、データベースに定義されるノッチ係数や材料パラメーターを修正することや、新しい溶接継手を追加することが簡単にできます。柔軟性が高いWELDデータベースにより、解析精度をユーザーのニーズに合わせて向上させることが可能です。

一方、Solid WELDでは、応力補間の手法を用います。この手法では、critical distanceと呼ばれる特定の深さ(ユーザーが指定できます)の応力が等価応力として用いられ、多数の試験結果をベースとしているマスターS-N曲線を用いて疲労評価されます。
Solid WELDのモデリングガイドラインは公開されているので、一般的なプリプロセッサーを用いてモデル作成が可能です。特にANSA及びSimLabプリプロセッサーをご利用いただくことにより、溶接継手、ならびにFEMFAT weldでの解析に必要なすべての定義を自動的に生成することができます。

FEMFAT weldは様々な機能を持っており、クリティカルな溶接形状パラメーターを特定する感度解析や、BS7608やEurocode 3といった規格に準拠した評価オプションも備えています。

FEMFAT weldは、FEMFAT basic、FEMFAT max、FEMFAT spectralと連携が可能になっています。

熱機械疲労(TMF)解析とは、熱負荷と機械負荷の組み合わせを対象とした疲労寿命予測解析のことです。TMF解析は、疲労解析の領域で最も困難なタスクのうちの1つです。FEMFAT heatを導入することで、この課題に取り組むことができます。

TMF解析の目的は、機械負荷がかけられる部品のダメージを計算することです。適用されるのは、ターボチャージャー、シリンダーヘッド、エキゾーストマニホールドなど、高温の温度変動の負荷にさらされる部品です。
FEMFAT heatは、Dr. Sehitoglu(米国イリノイ大学)が実証した評価手法を基にしており、FE解析による時系列温度分布データを利用するだけでなく、疲労寿命予測では、弾塑性応力とひずみも利用します。

この評価手法の特長は、次の3つのTMFに関連するダメージのメカニズムを考慮に入れていることです。

  • 熱機械的ダメージ
  • 酸化によるダメージ
  • クリープによるダメージ

これらのダメージの解析には、追加の材料パラメーターや温度に依存する材料特性も必要であるため、FEMFAT heatで用いるFEMFAT材料データベースには、それに必用な材料パラメーターもすべて含まれており、一般的に使用される(高サイクルの)疲労寿命を評価する材料データベースより、拡張されています。

材料データベースに含まれていない新規の材料については、お問い合わせいただければ、FEMFAT材料データベース作成のために必要な材料試験メニューをアドバイスいたします。

このモジュールを利用すると、静的安全率を計算できます

FEMFAT breakはFEMFATのモジュールの中で唯一、疲労強度を解析するためのモジュールではありません。FEMFAT breakは、静的安全率を計算します。
この計算では、応力勾配、材料の延性、寸法効果、温度、局部材料特性、表面の残留応力が考慮できます。

FEMFAT breakは、FEMFAT basicまたはFEMFAT maxと連携が可能になっています。

FEMFAT visualizerは、他のモジュールとは独立したインターフェースを持つ、動作の軽快な3次元ポストプロセッサーで、FEMFATの解析結果やFE解析の応力値を表示することができます。さらにFEMFAT visualizerを用いることで、シェル要素モデルに、FEMFAT weldの計算に必要なシーム溶接を簡単に定義することができます。 

FEMFAT visualizerは、ダメージ、疲労寿命、疲労限度安全率などのFEMFAT計算結果の表示や報告書資料の作成が行えます。さらに出力オプションを追加設定することで、解析結果をより深く理解する上で役立つ情報が得られます。この情報は、FEMFATの解析に関連するすべてのパラメーター(現在50種類以上)が含まれます。例えば、等価応力振幅や等価平均応力、あるいは解析に使用された疲労に関する影響因子が局所S-N曲線に与えた効果などを確認することが可能です。

さらにFEMFAT maxとFEMFAT spectralによる解析を行った場合では、節点ごとの等価応力履歴やダメージ履歴のグラフィックチャート、ならびにダメージへの寄与が最も高いチャンネル/モードを特定することが可能です。

FEMFAT visualizerは、ポストプロセッサの古典的な機能に加えて、FEMFAT溶接モジュールに役立つプリプロセッサの機能も提供します。これにより、溶接シームを迅速かつ容易に定義することができます。これは、VISUALIZERに統合されたWELDseamScannerによって完全に自動で行うことができます。また、マウスを数回クリックするだけで、FEモデル上で溶接シームのコースを定義することができます。接続のタイプ(Tジョイント、オーバーラップジョイントなど)は自動的に認識されます。溶接形状に関する詳細は、ビジュアルアシスタントを利用して定義することができます。

さらに、3Dスクリーンショット機能があります。これは、PowerPointのファイルを小さなポストプロセッサーに変えてしまう機能です。FEMFAT visualizer上に表示されているFEMFATの結果をFEMFAT visualizerからエクスポートし、PowerPointのファイルに組み込めば、絵としてのスクリーンショットのみではなく、3Dビューワーとして表示させることが可能です。

このモジュールを使用することで、FEMFATの解析ジョブを自動で複数のジョブに分割し、それぞれを同時に実行することが可能です。その並列計算では、ジョブの解析グループを、指定された数のほぼ同じ大きさのサブグループに分割し、その各々のサブグループに対してFEMFATを起動します。全ての解析ジョブからの計算結果(.fps ファイル)は最終的に1つにまとめられます。

疲労解析の並列計算には、parallel tokens もしくは通常のライセンスが使われます。


その他の情報

ライセンス形態​​​​​​​

 ダウンロード​​​​​​​

システム要件​​​​​​​